SUB:見て!「シンドラーのリスト」(相当ネタバレ) 昨日、シンドラーのリストを見た。 ・いろんな人から「いいぞ」って聞かされてたんだけど、ホントに良かった。 ・一言で言うと言葉を失う映画ですね。うん。簡単に「イイ映画」とか言うのも はばかられるくらい。そうだなぁ、見終わったときの最初の感想は、人間ていいな、 って。生きてて良かった、って。 ・とにかく元気の出る映画ですね。スピルバーグ君もシンドラー君も頑張ってる じゃないか、俺だって頑張れないことないぞ、って。うん、ホント、そんな感じ。 ・映画館が入ってるソラリア(福岡の中心地のおしゃれビル)のエスカレーターを 降りながら、ぼーっとそんなことを考えていた。人間してる人みんなに見てほしい。 まだ見てない人、見てね。絶対。 ・いろんな評論家なんかがアカデミー賞をねらって作った、って言ってるらしいけど、 そういうことを言う人とは何か大事なことを忘れてるんじゃないか。評価する方が 偉いんじゃなくて、評価される方が偉いに決まってるってコトを。とりあえず アカデミー賞を総なめとか言われてるらしいけど、賞なんか取れたって取れなく たって、そんなのどっちでもイイ。スピルバーグだってそう思ってるに決まってる じゃない。わざわざエライ人に褒めてもらわなくったって、映画の価値が変わる わけないし。アカデミー賞が取れなかったら、それはこの映画が悪いんじゃなくて、 アカデミー賞のあり方の方に問題があるんだ。そう言い切らせてもらう。  細かいことを書く。 ・私ってあんまり映画のコト、特に技術的なことが分からないので、ここで皆様が 言ってた手持ちカメラがどうだとか、パートカラーがどうだとか、最後のシーンが あざといだとか、あんまり良く分からないのですが、とりあえず、私が今言えるのは そんなのどうでもいいんじゃないの?ってコトだけです。こういう言い方はどうかと 思うけど、あの映画のコトを酷評できる人というのを、私は信じられない。 スピルバーグがユダヤだから、ホロコーストを告発する映画を作った、という言い方は 一応は正しいのでしょうけども、あの映画が描いているのは別に50年前のドイツ人の 蛮行じゃあない。恥ずかしさを押しのけて言うと、彼は「人間」を描いているのだ。 そして実は「人間」を描くのが映画だと思う。ちょっと言い方違うかな、そう、 「人間」を描いているのがイイ映画なんじゃないかいな。 ・アウシュビッツに送られる「熟練工」たちを救うリスト。秘書?のユダヤ人 (ごめんなさい、名前を忘れてしまいました)がタイプライターで打つ、彼らの名前の アルファベット。僕はこんなに意味の重い活字を見たことがない。だって アルファベットの文字の一つひとつが、人の命なのだもの。 ・忘れられないシーンが沢山ある映画こそがイイ映画なのだとすると、この映画、 ホントに忘れられないシーンが沢山、ある。シンドラーが高台から虐殺の場面を 俯瞰しているところ。死体を運ぶリヤカーの上に見覚えのある赤い服を着た小さな 女の子を見つけるところ。秘書?のユダヤ人が間違って貨車に積み込まれ、慌てて 捜すときの兵隊とのやりとり。誕生日のパーティで従業員代表のユダヤ人の女の子に キスをしたときの、彼女のあの表情。両親をあなたの工場で働かせて下さい、といって きた女性を迷惑がりながらもちゃんと両親を雇ってあげるところ。工場で働かせて もらっていることにわざわざ礼を言いに来る片腕のない初老の男性が兵隊に射殺された ことを知って激しく抗議するところ。トラックに乗せられまいとして男の子が最後の 隠れ場所のボットン便所の中に飛び込んだら先に隠れてる子供たちから「出てけ」って 言われるところ。女性たちを乗せた列車が目的地を間違えてアウシュビッツに行って しまったことを知って、あらゆる手を尽くして彼女たちを取り戻すところ。子供たちが 列車に乗せられないで「間引かれ」ようとしているときに彼らこそ「熟練工」なんだと 兵隊に喰ってかかるところ。シンドラーに説得されいっときは人間性を取り戻しながら 堪えられなくなって身の回りの世話をさせていた男の子を射殺してしまう アーモン所長という人物の描き方。最後の集会。シンドラーの演説。そしてみんなとの 別れ。クルマを売ればあと10人は救えた。胸のナチスの党員バッチだって金で 出来てるんだから2人は救えただろう。それなのに自分は、そうしなかった。 「ずいぶんと遊びすぎたもんな」といってふっと微笑む彼。これって数多くの ユダヤ人を救った彼だからこそ出来得る後悔だったんじゃないか。 どれもこれも絶対に忘れられないと思う。 ・前編モノクロで。色というものがとても効果的に使ってある。 ・朝日新聞の夕刊一面のコラム「粗粒子」に、こう書いてあった。「ユダヤ人虐殺の 映画はよく見かけるが、パレスチナ人の虐殺の映画は、ない(趣意)」って。 イスラエルの占領地で、パレスチナ人が何十人も殺されるっていう悲惨な事件の後 だったから、思わず私も「そうそう」って膝を叩いてしまっていた。ユダヤ人は政治の 世界でも経済的にも有力だから自分たちの悲惨な歴史を描く映画を作れるんだ、って。 でもね、「シンドラーのリスト」を見たら、そんな簡単なもんじゃあない、って 気持ちになってた。スピルバーグは50年前の自民族の悲惨な歴史を描きたかったと いうだけでこの映画を撮ったんじゃない。その証拠に最後のシーンがある。シンドラー のお墓に、彼に命を救われたユダヤ人とその子孫が石を並べていくシーン。あの 行為は、現在も続いている武力紛争(早い話が「人殺し」だ)に対する嫌悪の気持ち、 平和を希求する気持ちの象徴なんじゃないかなぁ。 ・あんまり褒め過ぎでしょうか。それと、一部の映画評論家が虐殺のシーンが 残酷すぎるという批判を展開しているらしいけど、それ聞いてビックリしちゃった。 私はといえば、あんまりあっさりしてるんで拍子抜けしたくらい。ずいぶんと控えめな 表現だなぁ、いろんな方面に遠慮したんだろうな、って。ガス室の描写も、心理的な 恐怖だけでとどめているし。事実は、もっとぐちゃぐちゃだったろうに。 ・もう一つ、気になったこと。フィリピンの映倫が、裸の出てくるシーンが けしからん、てオリジナルでの映写を禁じるようなことを言ったらしい。それに対して スピルバーグは当然ながら「映画はオール・オア・ナッシングだ」と突っぱねた、と。 なんだか淋しい話だな。もう一つ、新聞社系のある週刊誌で、巻頭モノクログラビア 見開き(!)で収容所の撮影風景の写真を載せてて。何が話題にしてるかって、 収容所の身体検査のシーンがあるでしょ。素っ裸で、洋服を持って、みんなで ぐるぐる走る。あのシーンがノーカットだって。ヘアも性器も出し放題って。 ‥‥なんか、コレも淋しい話だなぁ。そんなこと、いちいち話題にするのもみっとも ないというか。センスを疑うというか。とりあえず、淋しい気持ちになったよ。 なんとかならんのか。おい、おまえのことだ! ・いろいろ書きましたがとにかく見て下さい。ビデオじゃあなく、映画館で見た方が 絶対イイ映画ってあるけれども、これはその最右翼だと思う。それに周りの観客層も 気になるしね。意外に?アベックが多かったけれども。 ・さあ、今度の休みにもういっぺん見るぞ。そうだ、朝から行って、一日3回、ずっと 映画館に居座ろうかな。弁当持参で。 ・良かったら、あなたの感想も聞かせて下さい。お願いします。                            luciole /POST