SUB:螢雑想<4>上九一色村で丸二日(長文) 村井氏が死んだ次の日。急に出張を言い渡されて、東京本社へ。 次の日から、南青山の東京総本部前で見張り番。 不測の事態を警戒するのと、幹部の出入りをチェック。 交差点の角に広く設けられた報道スペースの片隅で4段脚立の上に ずっといて。尻が痛い。変則的な五叉路。 あの細い道から4トントラックが突っ込んできても、きっと よけ切れないだろうな。 上祐外報部長の会見。いつまでたっても来ない上祐氏。 うー、小便に行きたくなってきた。聞くと、会見のある三階の 便所は壊れてて?使えないそうで。仕方がないので 地下一階の便所を借りることに。 その旨を話すと、エレベータに護衛??のにいちゃんが付き添ってくれて。 ははは。サロンみたいな地下一階の(ホントは喫茶店)、奥の方へ案内 されて。用を済ましながら、うーん、私このまま行方不明になってしまうの かしら。うーん、やっぱり隣にいた日刊スポーツのカメラマンと一緒に来れば よかったかな。うーん。うーん。じょぼじょぼ。 でも便所はうちよりキレイ。ははは。 上祐氏が登場し。一時間近くの遅刻。彼の周りには 屈強そうな(‥‥でもない)信者四人が仁王立ち。 そういうのにあんまり構わず、僕らは彼の斜め後ろへ歩いたり、 反対側へ移ったり。いろいろ頓着してると写真が撮れないもんで。 その辺は、被写体がなんであっても、あんまり関係ない。 もういっぺん彼の正面にまわり、じっと話を聞く。 どうもかなり疲れているようだ(当たり前だ)。 この人はいつ寝るのだろうか。彼もあの例の オウム食を食べてるのかな。どうだろ。 それにしても、羽田に着いて浜松町までモノレールで行き、 そこから会社までタクシーに乗ったのだけれども、 東京の女子高生ってスカート短い。どうなってるんだ。 それに、全体的に大人っぽい、というか色っぽい、というか、 なんちゅうか、だね。いいとか悪いとかじゃなくて、 いや、どちらかといえば、あんまりよく思わなかったんだけど、 なんだか、男に対して、性的に武装してるというか。 ちょっとすごい言い方かな。でも、そう思った。髪の毛長い子が 多いし。実はそういう子ばっかりに目が行ってたりして。ははは。 話が大きくそれてしまったが、ついでにいうと、東京という 巨大都市で生きていくと、自然にああなるんだろうな。 ああならないと生きてゆけないというか。 あ、別に男女差別とかじゃなくて、 出会う(すれ違う、接する)人間の数が、単純に多いと、 人間は自ずと強くたくましくなって行くね。 なんだかだんだんドツボるなぁ。やめとこ。 上九一色には丸二日いました。ほとんどの時間、第六サティアンの 前で。テレビのレポーターはさすがにカメラに向かっては 「第六サティアンと呼ばれる(!)建物の前に‥‥」って 言ってたけど、僕ら、何のこだわりもなく「第六サティアン」て 呼んでる。これって、けだし、すごく変なこと。 何だよ、第六サティアンて。知らないよ、そんなの。 いかにも女性記者ってタイプの(これって偏見?)おねえさんが モトローラの無線に向かって「こちら六サティ‥‥」なんて言ってて。 ああ。 東京でも上九一色でも一番強く思ったのは、 どうしてこんなことになっちゃったんだろうな、ということ。 長時間ひとつところでゆるい緊張感のなかにいるなかで、 ときおり思い出したように、何度もなんどもこの考えが去就し。 東京総本部前に、警察官が何人も立ってたり、何時間も玄関前で 踊りの上手な可愛い信者の娘と、踊りのそんなに上手でない 男性信者と、おばさんと。鎮魂の踊りをおどってたり。 しばらくしたらマスコミは彼らを気にもとめなくなったり。 取材陣の出す大量のゴミに苦情が来て、テレビの幹事社(らしい)の TV東京の若い記者が、黒いビニール袋を持ってまわったり。 見慣れない超美人が中に入ろうとして止められ、教団の新たな 美人幹部か、上祐に第三の女がいたか、と皆が色めき立ったら 単なる取材に来た記者だったり。交差点の向こう側の角とその向こうと、に 山ほど見物人が来て、何時間も飽きずに立ってたり。「写るんです」 あたりでぱちぱち建物とマスコミを撮ったり。 歩道の角に座り込んで上祐氏が帰ってくるのを待ってたり。 「じょうゆーさーーーん」と叫ぶ女の子たちを、どうこう言いたくないし かかわりを持つ気もないけど、あんまり賢そうな娘は来てなかったな。 うん。これは主観だけど。 第六サティアンの広い敷地のなかを地中探査機?で隅々まで調べたり、 狭い農道を黒塗りのハイヤーが走り回ったり、態度のやたらに悪いおばちゃんの 中華食堂が、ホントはそんな店に行きたくないんだけど時間もないし 仕方がなく来ているマスコミで一杯になってたり。 雨は降るし。 luciole//小倉雄一 /POST